人工骨頭置換術

大腿骨頚部骨折 人工骨頭置換術とは 麻酔について 合併症 入院から手術まで 手術の前日 手術のあと 退院にむけて リハビリテーション 脱臼の予防 転倒と骨折の予防 退院後の注意

大腿骨頚部骨折

太もものつけ根の部分の骨が折れることです。

通常は、痛みのために歩くことができなくなります。

 

骨折の型の分類

人工骨頭置換術とは

この骨折には、通常、手術治療をおこないます。

手術には、骨接合術と人工骨頭置換術があります。
骨折の型、患者さんの年齢や全身の状態を考えて、手術の方法を選びます。
人工骨頭置換術は、折れている骨(骨頭)を取りのぞいて人工物でできた骨頭に置きかえる手術です。

人工骨頭は、金属やセラミック(陶器)、プラスチック(超高分子ポリエチレン)などが組み合わさってできています。
人工物を太ももの骨に固定するときに、骨セメントを使用する場合があります。
骨セメントは、歯の治療でも使われています

麻酔について

麻酔について

手術は麻酔をしておこないます。ですから手術中は痛みを感じることはありません。

麻酔の種類

  • 全身麻酔
    口と鼻をおおうようなマスクをあてて麻酔薬を吸い込むか、麻酔薬を注射するなどして麻酔をかけます。
    麻酔がかかると完全に眠った状態になります。
  • 脊椎/硬膜外麻酔
    背骨の間から麻酔薬を入れて、手術する部位の痛みを取る方法です。
    麻酔が効いてくると、下半身の感覚がなくなります。

合併症

人工骨頭置換術にともなう合併症

  • 脱臼(関節がはずれてしまうこと)
  • 感染
  • 肺炎
  • 深部静脈血栓症
    足の血管に血のかたまりができること。その血のかたまりが肺へ転移して肺の血管をふさいでしまうと肺動脈塞栓症となる。
  • 骨折(人工物を入れた周囲の骨が折れること)
  • 骨セメントの使用によるショック
  • 術後認知(痴呆)症
    術前にあった認知症が増悪したり、新たに認知症が発生することがありますが、多くは一時的なものでしだいに軽快します。

手術にともなう諸問題

  • 麻酔にともなうこと
  • 肺炎
  • 深部静脈血栓症/肺動脈塞栓症
  • 感染
  • 周囲の血管や神経の損傷
  • 輸血による問題

※その他、予測のできないできごとに対して、医療処置が必要になる場合があります。

入院から手術まで

安静

ベッドの上で安静です。食事やトイレ、からだの向きを変えるなど、身の回りのことは看護師などの職員がお手伝いします。
遠慮なくナースコールでお知らせください。

検査

安全に手術を受けるために、血液検査や心電図、エックス線などで、全身の状態をしらべます。

運動

手術後の回復を早めるために、ベッドの上で手足の運動をします。医師や看護師、理学療法士が指導します。
また、床ずれを予防するために、時々腰を浮かせましょう。けがをしていない方のひざを立てて、腰を浮かせます。

呼吸の訓練

手術後の回復を早めることと、合併症の一つである肺炎を予防するために、深呼吸や痰を出す練習をします。医師や看護師、理学療法士が指導します。

薬について

ふだん飲んでいる薬や目薬、ぬり薬などは、薬局で買ったものも含めてすべて医師・看護師にお見せください。薬によっては、手術に影響するものもあるからです。

牽引について

主治医の判断により、骨折した下肢を牽引(引っぱる)ことがあります。

入院生活でわからないことや心配事がありましたら、遠慮なく職員にご相談ください。

手術の前日

食事・飲水について

手術にそなえて、胃の中を空にします。
前日の夜からは食べたり飲んだりできません。

指輪などのアクセサリー・入れ歯

指輪やネックレスなどははずしておきましょう。
貴重品は家族の方が保管してください。
入れ歯についても、寝る前までにはすべてはずしておきましょう。

手術の当日

手術の準備がととのうと、ベッドで手術室に移動します。

手術のあと

おしっこの管が入っています

おしっこは自然に排泄されます。患者さんの状態をみて管を抜きます。
引っ張らないようにしてください。

点滴の管が入っています

薬などを注入するための大切な管です。
患者さんの状態をみてはずします。

酸素を吸入します

鼻と口をおおうようなマスクをします。いつも通り楽に呼吸をしてください。

両足の間に枕(外転枕)が入っています

手術した足を適切な位置に保っておくためのものです。手術直後は両足が固定されていることもあります。
体の向きを変えたいときは、必ずナースコールでお知らせください。

水分や食事は?

水分や食事は、医師・看護師の指示にしたがってください。
痛みや困ったことがありましたら、遠慮なくナースコールでお知らせください。

退院にむけて

リハビリテーション

手術の翌日から始まります。
ベッドの上での運動から、少しずつ歩く練習をしていきます。
『リハビリテーション』のページでもう少し詳しく説明しています。

抜糸

手術した部位の糸、または、医療用のホチキスをはずします。

入浴・シャワー

手術した部位の状態をみて、医師が許可します。看護師などの職員がお手伝いします。

退院指導

患者さんと家族のかたへ、医師や看護師などから退院後の生活について説明があります。
不安なこと、心配なこと、困っていることがありましたら、遠慮なくご相談ください。

リハビリテーション

ベッドの上で

リハビリテーションは、ベッド上での簡単な運動からはじまります。

車いすへ移る

車いすへ移れるようになるとリハビリテーション室に移動して訓練をします。

歩く練習をする

運動しやすいくつを用意しましょう。

※1 週間程度の安静でも、筋肉の力はおとろえています。転倒などの危険を防ぐため、医師の許可がでるまでは、一人で勝手に行動しないようにしましょう。

リハビリテーションの進み具合は、人によって違いがあります。
あせらず、自分のペースで進めてください。
痛みが強い場合は、がまんせずに医師・看護師・理学療法士にお話ください。

脱臼の予防

脱臼の予防

動作によって、手術をした関節がはずれてしまう(脱臼する)ことがあります。次のような動作はさけてください。

してはいけない動作

  • 足を組む

  • 横すわり

  • 過度に背中をそらせる(腰を伸ばす)
    腰が曲がっているかたは、腰を伸ばそうとすると背中がそらずに股関節が伸びてしまい、脱臼する可能性があります。

椅子の高さ

ソファーなど腰が深く沈みこむような椅子はさけましょう。

 

トイレは洋式へ

自宅が和式トイレの場合は洋式に変えるか、和式のトイレにかぶせる洋式トイレを利用しましょう。介護用品店などで販売しています。

また、外出するときは携帯用のトイレを持っていくと安心です。旅行用品店などで販売しています。

転倒と骨折の予防

転ばないように気をつけましょう

  • 杖を利用しましょう。
    杖は手術した方と反対側の手に持ちます。
  • 適度な運動で筋肉の力を保ちましょう。
    一日30分くらいの散歩も良いでしょう。
    ※運動は医師の指示にしたがって進めてください。

けがの予防につとめましょう

  • 大腿骨を保護するパンツ(ヒッププロテクター)を着けると良いでしょう。
    介護用品店などで販売しています。
  • バランスの良い食事を心がけ、骨を丈夫にしましょう。
    日光浴も大切です。

 

生活の場を見直しましょう

  • 階段や風呂場に手すりをつける。

  • 風呂場にシャワーチェアを置く。

  • 玄関や部屋のわずかな段差をなくす。
  • 布団からベッドに変える。
    すべりやすい敷物や縁のめくれた敷物は、取りのぞくかピンなどで固定する。

  • 食事は座卓から椅子とテーブルに変える。

 

退院後の注意

退院後の診察で、手術した足が順調に回復しているか確認します。必ず定期的に受診してください。

次のような症状がある場合はすみやかに医師に相談しましょう

  • 手術した部分が痛んで歩けない
  • きずぐちが異常に赤くなったり、熱を持ったり、膿などが出ている
  • ふくらはぎや足の痛みや腫れ
  • 呼吸が苦しい、胸が痛い
このコーナーの情報は専門医の監修を頂いておりますが、患者様の状態は個人によって異なりますので、
詳しくは医療機関で診断を受け、主治医よりご説明を受けて下さい。

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